ここでは鉄欠乏性貧血の薬(鉄剤)でよくある質問について回答する

代表的な鉄欠乏性貧血の治療薬(鉄剤)

内服薬:非徐放性製剤

  • フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)
  • インクレミンシロップ(ピロリン酸第二鉄)

内服薬:徐放性製剤

  • フェロ・グラデュメット(乾燥硫酸鉄)
  • フェルム(フマル酸第一鉄)

注射薬

  • フェジン(含糖酸化鉄)

鉄剤とビタミンCを併用すると鉄の吸収がアップすると聞いたのですが本当ですか?

本当だ。鉄は酸化されると3価鉄となり、吸収されにくくなるという性質がある。

ビタミンCには還元作用があり、鉄を2価の状態に維持することで吸収を高めることができる。実際に併用されるケースをたまに見かける。

ただフェロミア(クエン酸第一鉄)にはクエン酸が含まれている。クエン酸は鉄の吸収を促進する作用があるため、これにビタミンCを併用しても貧血改善効果に影響がなかったという報告がある。

フェロミア以外の鉄剤については併用することで吸収がアップすると考えていいが、吸収が高まることで胃腸障害が発現しやすくなることには注意が必要だ。

お茶やコーヒーと一緒に鉄剤を飲んで良いのでしょうか?

臨床上では緑茶やコーヒーなどタンニンを含有する飲料と鉄剤を一緒に飲んでも貧血改善効果に影響はなかったとされる報告がある。

また一方ではキレートを形成することで吸収が抑制されるため、両者の服用間隔を2時間以上あけるとしているものもある。

以上より、医師や薬剤師により見解は異なるだろうが、私は「あえてお茶やコーヒーで飲む必要はないと思うが、仮に飲んだとしてもほとんど影響はない」と説明している。

何で飲むかよりも医師の指示通り継続することの方が大切だからね。

便が黒くなりますが、何か問題はありますか?

便が黒くなるのは鉄の色によるもので、健康への影響はない。

ただ大腸がんを診断する検査の一つである便潜血反応検査の際は注意が必要。

鉄剤を服用中は偽陽性になる可能性がある。検診の際は必ず伝えるようにしよう。

貧血の症状が良くなったら鉄剤を中止してもいいでしょうか?

仮に症状が改善しても、医師の許可が出るまでは継続して欲しい(ココ重要)。

医師は血液検査データを見ながら継続の是非を判断しており、症状が改善したからといって自己判断で中止してしまうと、すぐに再発してしまうからだ。

貧血が改善してからも体の中の鉄の貯蔵分が回復する(貯蔵鉄:フェリチン値20ng/mL以上が目安)まで、3~4ヶ月程度鉄剤を継続する必要があることは覚えておこう。

回復は以下の順番でみられる。

  1. Hb(ヘモグロビン)
  2. 血清鉄値(SI)
  3. フェリチン値(貯蔵鉄の指標)