MENU
お知らせ内容をここに入力できます。 詳しくはこちら

クレナフィン爪外用液:塗るだけで治療できる爪白癬治療薬を徹底解説

クレナフィン
  • URLをコピーしました!

爪白癬(つめはくせん)は、皮膚糸状菌というカビが爪に感染して起こる病気で、爪水虫とも呼ばれます。爪が白く濁る、厚くなる、欠けてくるといった見た目の変化が主な症状で、自覚症状は少ないものの、人にうつる感染症です。

悪化すると爪が変形し、靴が履きづらくなる、歩きにくくなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。日本では推定患者数1000万人以上とされ、特に高齢者に多く見られる疾患です。

従来の治療は主に内服抗真菌薬が中心でしたが、近年では外用薬による治療の選択肢も登場しています。その代表が、日本で初めて承認された爪白癬専用の外用薬「クレナフィン爪外用液10%」です。

この記事では、薬剤師として知っておくべきクレナフィンの特徴、作用機序、使い方、指導ポイントなどをコンパクトかつ実践的に解説します。

目次

概要

クレナフィン爪外用液10%は、爪白癬に対して日本で初めて外用で使用できるよう承認された抗真菌薬です。1日1回、患部の爪に塗布することで治療効果を発揮します。

製品名

クレナフィン爪外用液10%

名前の由来

爪白癬の爪を“Clean(清浄)”にするという意味と、有効成分であるエフィナコナゾール(Efinaconazole)に由来。

成分名

エフィナコナゾール(Efinaconazole)

販売メーカー

科研製薬株式会社

包装

  • 3.56g(4mL)×5本、10本
  • 7.12g(8mL)×5本

保管方法

  • 室温保存。
  • 開封後12週間を過ぎたものは使用しない。
  • 可燃性のため火気厳禁。

どんな薬(一般向け)

爪白癬(爪の水虫)に対する塗り薬で、真菌を殺菌する働きがあります。内服薬に比べ副作用が少なく、外用で治療が可能なことが特徴です。

作用機序

クレナフィン(成分名:エフィナコナゾール)は、真菌の細胞膜をつくるために必要な「エルゴステロール」の合成を妨げることで、抗真菌作用を発揮します。

具体的には、エルゴステロールのもとになるラノステロールの14位脱メチル化を阻害し、真菌の細胞膜の形成を阻止します。

この作用により、爪白癬の主な原因菌であるトリコフィトン属(T. rubrum、T. mentagrophytesなど)に対して高い抗真菌活性を示すのが特徴です。

さらに、クレナフィンは爪への浸透性が非常に高く、角質や爪内部にまで有効成分が届く設計となっており、爪白癬の治療に特化した外用薬として効果を発揮します。

対象患者(適応症)

  • 適応菌種:皮膚糸状菌(トリコフィトン属)
  • 適応症:爪白癬 ※KOH直接鏡検や培養で確定診断された患者に限る。

代謝経路

CYP酵素による肝代謝。詳細な酵素種については明示されていませんが、肝で代謝されます。

最高血中濃度到達時間

22.4 ± 4.9 時間(健康成人の背部貼付時)

半減期

消失半減期は算出できず(単回貼付試験にて)

作用発現時間

作用発現に要する具体的な時間は記載されていませんが、治療には数か月単位が必要です。

作用持続時間

爪の再生を待つ必要があり、長期治療(最大48週)を前提とする。

用法用量

1日1回、罹患爪全体に塗布する。

肝機能・腎機能障害時も合わせて

  • 腎機能障害・肝機能障害:使用上の注意の記載はあるが、明確な制限はなし。慎重に使用すること。
  • 妊婦:治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用。
  • 授乳婦:授乳の継続または中止を検討。動物実験で乳汁移行あり。
  • 小児:臨床試験なし。
  • 高齢者:特別な注意喚起なし。

投与を忘れた場合

添付文書に記載なし。一般的には気づいた時点で塗布し、以後通常のスケジュールに戻す。

注意事項(薬剤師として)

  • 48週を超える使用の有効性・安全性は確立していないため、漫然と使用しない。
  • 使用しても改善がない場合は中止を検討すること。
  • 外用薬であるが、皮膚刺激性や局所副作用に注意する。

処方監査

  • 爪白癬の確定診断(直接鏡検または培養)を確認すること。
  • 重症(感染面積50%超)の患者には使用されていないことを確認。
  • 他の抗真菌薬との重複を確認。

1本でどれくらいもつ?

3.56g/本の場合、1本で毎日爪10枚に塗布して7日間もつ。つまり爪70枚分塗ることができる。7.12gならその倍。

ただ爪全体および爪周囲の皮膚との境目までしっかり塗るため、多少余裕をもって処方が必要。また、開封後12週間経過したものは残液があっても廃棄すること。

自動車の運転

影響なし。添付文書に制限記載なし。

服薬指導(患者に説明するべきこと)

  • 爪白癬の治療には時間がかかる(爪の生え変わりが必要)。
  • 一度塗っただけで見た目が良くなることはない。
  • 爪全体、特に皮膚との境目までしっかり塗布する。
  • 傷口のある部位には注意。
  • 他の爪には使わない。
  • ネイルや化粧品は併用不可。
  • 目に入らないように注意し、入った場合は水で洗う。
  • 火気厳禁。可燃性。

次回モニタリング項目

  • 爪の変化(改善度合い)
  • 塗布状況(使用方法の確認)
  • 副作用の有無(特に塗布部位の皮膚症状)

まとめ

クレナフィン爪外用液10%は、内服薬が使いにくい高齢者や併用薬が多い患者にも適した外用の爪白癬治療薬です。48週を上限に、毎日塗布し続けることで有効性が示されています。確定診断に基づいた使用と、適切な指導が治療の鍵となります。

参考文献・出典

  • クレナフィン爪外用液10% 添付文書(科研製薬株式会社)
  • クレナフィン爪外用液10% インタビューフォーム(科研製薬株式会社)
  • 皮ふトラブル、正しく知ってしっかり治す。『白癬』『水虫』の原因・症状・治療法|マルホ株式会社
  • 常深祐一郎 監修:爪水虫の症状は?|埼玉医科大学 皮膚科
  • 日本皮膚科学会白癬診療ガイドライン 2023
クレナフィン

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次