目次
当院採用薬
- プリンペラン注射液10mg
- メトクロプラミド錠5mg「タカタ」
経口薬はそこそこ入手困難。在庫がなくなり次第、プリンペラン錠5mgになりそう。
プリンペラン®(メトクロプラミド)注射剤・経口剤 比較表
項目 | 注射剤(プリンペラン注射液10mg) | 経口剤(プリンペラン錠5) |
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商品名 | プリンペラン注射液10mg | プリンペラン錠5 |
成分名 | メトクロプラミド(塩酸塩) | 同左 |
保存方法 | 室温保存、有効期間3年 | 室温保存、有効期間5年 |
作用機序 | ドパミンD₂遮断、5-HT₃遮断、5-HT₄刺激により制吐・消化管運動促進 | 同左 |
禁忌 | ・本剤または類似化合物への過敏症 ・褐色細胞腫、パラガングリオーマ ・消化管出血、穿孔、閉塞 | 同左 |
併用禁忌 | 明記なし(添付文書) ※併用注意薬多数あり:抗ドパミン薬、ジギタリス、抗コリン薬 など | 同左 |
妊娠・授乳時の対応 | 妊婦:有益性が危険性を上回る場合に限る 授乳婦:母乳中移行ありだが、使用可能とされる | 同左 |
適応 | 嘔気・嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、術後の消化器症状、X線検査時のバリウム通過促進など | 同左 |
排泄経路 | 主に腎排泄(未変化体および代謝物) ※腎機能障害時は減量推奨(以下はポケット医薬品集) Ccr<40 1/2、Ccr<10 1/4 | 同左 |
投与量 | 1回1アンプル(2mL/塩酸メトクロプラミド10mg)を1日1~2回(筋注/静注) ※年齢・症状により適宜増減可(添付文書記載) | 1回1〜2錠を1日2〜3回、食前投与(最大6錠/日) ※適宜増減可 |
投与法 | 筋注または静注 | 経口(錠・細粒・シロップ) |
調整法 | 調製不要(pH 2.5〜4.5) | そのまま服用(PTP注意) |
配合変化 | アルカリ性注射液と混合で混濁の恐れ → 配合不可 | 特に記載なし |
作用発現時間 | 静注:数分以内に作用発現(臨床経験より) | 約30分〜1時間(Tmaxより)※ |
作用持続時間 | 約6時間程度※ | 約6〜10時間程度※ |
半減期 | 約5.4時間(静注) | 約4.7時間(経口) |
Tmax(最高血中濃度到達時間) | ― | 約1時間 |
バイオアベイラビリティ | 100%(静注) | 77.3 ± 24.0%(先発品IF・外国人データより) |
主な副作用 | 錐体外路症状、眠気、乳汁漏出、悪性症候群、アナフィラキシーなど | 同左 |
自動車運転 | 注意(眠気・注意力低下の可能性あり) | 同左 |
包装単位 | 2mL×10管/50管 | PTP:100・500・1000錠、バラ包装あり |
薬価(参考) | 約38.3円/管 | 約5.6円/錠 |
- 作用発現時間※:添付文書・インタビューフォームに該当資料なし。静注では臨床的に数分以内に効果発現、経口はTmax(約1時間)を基に30分〜1時間で作用発現と推定。
- 作用持続時間※:添付文書・インタビューフォームに該当資料なし。半減期(t₁/₂)の1〜2倍を目安として推定。出典:Goodman & Gilman’s Pharmacological Basis of Therapeutics, 13th ed.
- バイオアベイラビリティ:経口剤については、先発品IF(塩野義製薬)より外国人6例のデータ:F=77.3 ± 24.0%、AUC 262.6 ± 92.9 μg/L・hr
- その他の情報は添付文書およびインタビューフォームを出典とする。
補足情報
妊婦・授乳婦への投与について
- 妊婦:添付文書上は「有益性が危険性を上回る場合に投与」とされている。海外の疫学研究では、妊娠初期の使用におけるリスク上昇は認められていない(NEJM 2009)。
- 授乳婦:国立成育医療研究センターのリストで「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」に掲載。LactMed によれば RID(相対乳児投与量)は約4.7% であり、安全性は高いと評価されている。
- 参考:
NEJM 2009:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0807154
LactMed:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501352/
NCCHDリスト:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_aiu.html
投与タイミング(食前 vs 食後)について
食前投与が基本(消化管運動促進により胃内容物を長く滞留しないように)。ただし、制吐目的の場合は食後投与でも問題ないとされ、実臨床では柔軟に運用されている。実際に一部医療機関では、疑義照会不要での食後調剤を認めているプロトコルあり。
副作用について
長期投与で錐体外路症状を惹起するので注意。