「◯γ(ガンマ)で開始して」と指示された投与量を、ポンプのmL/hに直す。逆に、いま流れているmL/hが何γなのかを申し送る。ガンマ計算は集中治療や救急で毎日のように出てきますが、μg・kg・分が入りまじり、苦手に感じる人は少なくありません。
ガンマ計算は、突き詰めると2ステップです。
- 1γ=体重×0.06で「1時間あたりのmg量」を出す
- 薬液の濃度(mg/mL)で割って「mL/h」にする
この記事では、その導出と暗算のコツ、薬剤別の早見表と計算例、mL/hからγへの逆算、そして桁・単位を取り違えないための注意までを、添付文書などの一次情報をもとに薬剤師の視点でまとめます。
なお記事末尾には、製剤を選んで体重とγを入れるだけの自動計算ツールも用意しています。
- γ(ガンマ)の意味と1γ=1μg/kg/minの考え方
- 1γ=体重×0.06mg/hの導出と暗算のコツ
- ドパミンやノルアドレナリンなど薬剤別の早見表とmL/h換算
- 桁・単位の取り違えを防ぐ安全確認のポイント
γ(ガンマ)とは何か?1γ=1μg/kg/minの意味と、なぜ体重換算が必要か
γ(ガンマ)とは、患者さんの体重1kgあたり、1分間に何μg(マイクログラム)の薬を入れているかを表す投与速度の単位です。定義は1γ=1μg/kg/min。主にカテコラミンなど、μg/kg/minで投与量を細かく調節する持続静注薬の「速さ」を、体重をそろえて言い表すために使います。
まずここだけ押さえれば十分です。分子側が「μg」、分母側が「kg」と「min」の2つに割れている、この形が苦手意識のもとになりますが、意味は「体重あたり・1分あたりの量」というだけです。
γは「1kgあたり1分間に何μg入れるか」を表す投与速度
1μg/kg/minを分解すると、μg(薬の量)÷kg(体重)÷min(時間)です。たとえば体重50kgの人に1γで流すなら、1分間に50μg(=1μg×50kg)が入っている計算になります。μgは1000分の1mgなので、量としてはごくわずかです。
投与量をμg/kg/minで調節する持続静注薬(主にカテコラミンなどの循環作動薬)の投与速度をそろえて表す指標として、日本の集中治療や救急の現場で使われています。
ポイントは「薬の種類」でくくるのではなく、単位がμg/kg/minの薬に使うと押さえること。「◯γで開始」「◯γまで上げて」という指示は、この投与速度を指しています。
なぜ体重をかけるのか(同じ量でも体格で効き方が変わる)
同じ1分間に50μgを流しても、体重50kgの人と100kgの人では、体重あたりの負荷がちょうど2倍違います。循環作動薬は体格に応じて必要量が変わるため、体重をそろえないと「多いのか少ないのか」を比べられません。そこで体重で割った「μg/kg/min=γ」という共通のものさしを使います。
逆にいえば、同じ「◯mL/h」でポンプが回っていても、患者さんの体重が違えばγは変わります。体重が重い人ほど、同じmL/hでのγは小さくなります。申し送りや監査で「mL/h」だけでなく「何γか」を意識するのは、この体格差をならすためです。
γは主に国内で使われる慣用表現(国際的にはμg/kg/min)
注意点として、「γ」はもともと質量の単位(=μg)で、投与速度を「γ」と略すのは主に国内の慣習です。国際的な文献では、投与速度はそのまま「μg/kg/min」と表記されます。
国内では広く通じる表現ですが、英語文献や国外向けの資料ではμg/kg/minと書くのが基本、と覚えておくと安全です。
1γは何mg/h・何mL/h?「1γ=体重×0.06mg/h」の導出と暗算のコツ
結論から言うと、1γは「体重(kg)×0.06 mg/h」です。μg/kg/minのままでは点滴速度に直せないので、まず「1時間あたり何mg」に変換します。ここさえ体に入れておけば、あとは薬液の濃度で割るだけでmL/hが出ます。
1γ=体重(kg)×0.06mg/h はこう導く(min→hr・μg→mg)
導き方はシンプルです。1γ=1μg/kg/minに、体重(kg)をかけて「μg/min」にします。次に1時間へそろえるため×60(min→hr)し、mgへそろえるため÷1000(μg→mg)します。60÷1000=0.06なので、まとめると1γ=体重×0.06 mg/hになります。
| 体重 | 1γのときの投与量(mg/h) |
|---|---|
| 30kg | 1.8 mg/h |
| 40kg | 2.4 mg/h |
| 50kg | 3.0 mg/h |
| 60kg | 3.6 mg/h |
| 70kg | 4.2 mg/h |
| 80kg | 4.8 mg/h |
| 90kg | 5.4 mg/h |
| 100kg | 6.0 mg/h |
暗算のコツ:「体重×6して小数点を左に2つずらす」
現場で使える覚え方は「体重×6して、小数点を左に2つずらす」です。×0.06は「×6してから÷100」と同じだからです。体重50kgなら6×50=300、小数点を2つ動かして3.0 mg/h。75kgなら6×75=450で4.5 mg/hと、暗算で1γのmg/hが出ます。
ここまでで「1γ=毎時何mg」が分かります。あとはその薬液が1mLあたり何mg入っているか(濃度)で割れば、ポンプに設定するmL/hになります。次の見出しでその最後のひと押しを整理します。
mL/hへの変換:薬液濃度(mg/mL)の使い方と「3mg/mL・50kgなら1mL/h=1γ」
mg/hが出たら、薬液の濃度(mg/mL)で割ればmL/hになります。濃度は「1mLの中に薬が何mg溶けているか」です。ここを押さえることが、γとmL/hを自由に行き来する鍵になります。
変換式:mL/h = 0.06×体重×γ ÷ 濃度(mg/mL)
投与速度の式は次のとおりです。mL/h = 0.06 × 体重(kg) × γ ÷ 濃度(mg/mL)。分子の「0.06×体重×γ」は先ほどの1時間あたりmg量そのもので、それを濃度で割ると体積(mL/h)になる、という流れです。
逆にγを求めたいときは、後述の逆算式(mL/h×濃度÷(0.06×体重))を使います。
「3mg/mL・体重50kg」なら1mL/h=1γになる理由
もっとも暗算しやすいのが「3mg/mL(=0.3%)の薬液・体重50kg」の組み合わせで、このとき1mL/h=1γになります。式に入れると、0.06×50×1÷3=1(mL/h)。つまりポンプのmL/hの数字が、そのままγの数字になります。
3mL/hなら3γ、5mL/hなら5γと読めます。3mg/mLの薬液を作っておくと計算が一気に楽になるのはこのためです。
濃度や体重がずれると、この気持ちよさは崩れます。薬液が薄く1mg/mLだと、同じmL/hでもγは3分の1(1mL/h=約0.33γ)です。体重が重いほど、同じmL/hでのγは小さくなります。
「数字がそのままγ」は3mg/mL・50kgという“基準の組み合わせ”のときだけと覚え、実際は自分の患者さんの体重と、目の前の薬液の濃度で必ず計算し直してください。
濃度の出し方の例:ドパミン0.3%製剤は150mgが50mLに入っているので、150÷50=3mg/mL。ノルアドレナリン1mg1管(1mg/1mL)を生理食塩液で50mLにすれば1mg÷50mL=0.02mg/mL、5管(5mg)を50mLにすれば0.1mg/mLです。
【計算例】ドパミン・ノルアドレナリン・ペルジピンで手を動かす
ここまでの2ステップを、実際の薬で最初から最後まで通してみます。手順はどれも同じで、①mg/h=0.06×体重×γ を出し、②濃度(mg/mL)で割ってmL/hにするだけです。濃度が3mg/mL以外でも、同じ式がそのまま使えます。
| 例 | 体重 | 指示γ | 濃度 | ①mg/h (0.06×体重×γ) | ②mL/h (mg/h÷濃度) |
|---|---|---|---|---|---|
| ドパミン0.3% | 50kg | 3γ | 3mg/mL | 9.0 mg/h | 3.0 mL/h |
| ノルアドレナリン5mg/50mL | 50kg | 0.1γ | 0.1mg/mL | 0.3 mg/h | 3.0 mL/h |
| ペルジピン | 60kg | 2γ | 1mg/mL | 7.2 mg/h | 7.2 mL/h |
ドパミン0.3%は3mg/mL・50kgなので、mL/hの数字がそのままγ(3γ=3mL/h)になる基準の組み合わせです。ノルアドレナリンのように低いγで使う薬は、mg/hもmL/hも小さくなります。
ペルジピンは濃度が1mg/mLでも、式は同じで7.2mL/hと出せます。指示γ・体重・濃度の3つがそろえば、どの薬でも同じ手順で計算できるのが要点です。
【早見表】薬剤・体重・組成別 1γあたりのmL/h一覧(ドパミン・ドブタミン・ノルアド・ハンプ)
代表的な組成での「1γあたりのmL/h(=換算係数)」を早見表にまとめます。数字は「1γ流すと何mL/hか」を表す係数なので、実際の投与量は右端の目安と各薬の指示γで別に確認します。
下の値はあくまで代表的な組成での目安で、実際の投与は自施設のプロトコル・添付文書・指示医の指示に従ってください。組成が違えば数値はまるごと変わります。
主要薬剤の代表組成と使用レンジ早見表
| 薬剤・代表組成(濃度) | 1γのmL/h(50kg) ※換算係数 | 1γのmL/h(60kg) ※換算係数 | 用量の目安 |
|---|---|---|---|
| ドパミン0.3%(150mg/50mL=3mg/mL) | 1.0 mL/h | 1.2 mL/h | 1〜5γ(最大20γ・添付文書) |
| ドブタミン(100mg/50mL=2mg/mL) | 1.5 mL/h | 1.8 mL/h | 1〜5γ(最大20γ・添付文書) |
| ノルアドレナリン(5mg/50mL=0.1mg/mL) | 30 mL/h | 36 mL/h | 添付文書はγ表記なし/院内プロトコル確認 |
| ハンプ(1mg/50mL=0.02mg/mL) | 150 mL/h | 180 mL/h | 0.1〜0.2γ(添付文書) |
左の2列は「1γ流したときのmL/h(換算係数)」で、実際にその流量で使うという意味ではありません。
ドパミンとドブタミンは1〜5γあたりが中心なので表の値に近い設定になりますが、ノルアドレナリンやハンプは1γでは使わず、実際は何分の1という小さなγで回します。そこで、実際に使うγごとのmL/hを見たほうが実務的です。
ノルアドレナリンで実際に使うγごとのmL/h(5mg/50mL・体重50kg)
| 投与量 | 流量(mL/h) |
|---|---|
| 0.05γ | 1.5 mL/h |
| 0.1γ | 3.0 mL/h |
| 0.2γ | 6.0 mL/h |
| 0.3γ | 9.0 mL/h |
ドパミン・ドブタミンの用量レンジ(1〜5γ、最大20γ)は添付文書に基づく目安です。ハンプは添付文書上0.1〜0.2μg/kg/min(0.1〜0.2γ)で、より低用量から開始する運用例もあります。
一方でノルアドレナリンとアドレナリンは、添付文書に体重換算(γ)の用量が明記されていません。臨床で使う「0.05〜0.3γ」は慣用の目安で、病態によってはこれを超えることもあるため、実際の投与量は院内プロトコルと指示医の指示で確認してください。
上の表の0.05〜0.3γも、代表的な計算例として載せているものです。なお、敗血症性ショックでどの昇圧薬を選ぶか(J-SSCG2024はノルアドレナリンを第一選択として弱く推奨)は、γ計算とは別の臨床判断です。
表の使い方と「必ず自施設の組成で計算する」注意
早見表は「だいたいこのくらい」を素早くつかみ、手計算の答え合わせをするための道具です。同じ薬でも施設によって溶かし方(組成)は異なり、組成が違えばmL/hは丸ごと変わります。
表の数字をそのまま設定値として使うのではなく、目の前の薬液が何mg/mLかを確認し、自分の患者さんの体重で計算し直すことが安全につながります。
循環作動薬・鎮静薬は、少しの設定差が血圧や心拍に大きく響くハイアラート薬です。早見表はあくまで確認用で、臨床判断そのものの代わりにはなりません。計算結果が普段のレンジから大きく外れるときは、投与前に必ず再確認とダブルチェックを行ってください。
逆算:今のmL/hは何γ?(申し送り・処方監査で使う型)
「今ポンプが◯mL/hで回っている。これは何γ?」を出すのが逆算です。式は γ = mL/h × 濃度(mg/mL) ÷(0.06 × 体重)。看護師の申し送りで「mL/hではなくγで伝えたい」ときや、薬剤師が注射箋のmL/hが妥当かを一般的なレンジと照らすときに役立ちます。
具体例で確かめます。ノルアドレナリン0.1mg/mL、体重50kg、6mL/hで投与中とします。式に入れると、6×0.1÷(0.06×50)=0.6÷3=0.2γです。ノルアドレナリンの目安レンジ(0.05〜0.3γ)の中に収まっているので、大きく外れてはいない、と確認できます。
「点滴の組成が分からないと、6mL/hと言われても多いのか少ないのか判断できない」というのは、現場でよくあるつまずきです。だからこそ、mL/hと一緒に「濃度」と「体重」をそろえてγに直すと、投与量の妥当性をその場で見立てられます。
申し送りでは施設の運用に従い、薬剤名・組成・体重・mL/hを確認したうえで、必要に応じてγも併記しておくと、受け手の取り違えを防ぎやすくなります。
γではない持続薬に注意:プレセデックスは「μg/kg/時」(60倍の取り違えに注意)
持続で流す薬をすべてγ(μg/kg/分)だと思い込むと、桁を大きく取り違えます。代表例が鎮静薬のプレセデックス(デクスメデトミジン)で、単位はμg/kg/時(hr)です。γは「分あたり」、プレセデックスは「時あたり」なので、同じ数字でも60倍の差が生まれます。
プレセデックスの集中治療での維持量は、添付文書上0.2〜0.7μg/kg/hrです(必要時に6μg/kg/hrを10分かけるローディングの記載もあります)。これを「0.2γ〜0.7γ」とγ薬と同じ枠で扱うと、時間あたりと分あたりを混同して大きな誤りになります。
「その薬の単位は分あたりか、時あたりか」を薬ごとに必ず確認してください。
なお、リコモジュリンのように体重あたり・1日単位の固定用量で使う薬は、そもそも持続γの薬ではありません。早見表で「何γ」と扱う対象ではない点も、あわせて覚えておくと混乱を避けられます。
【安全】桁・単位を間違えない:ハイアラート薬の10倍・60倍・体重倍
γ計算でいちばん怖いのは、計算の細かなズレより「桁」の取り違えです。循環作動薬・鎮静薬はハイアラート薬(誤ると患者さんに重大な害が及びうる薬)で、誤りが10倍・60倍という桁で出ると致命的になりえます。
早見表と暗算は、この桁ミスを防ぐための確認手段として使うのが本来の目的です。
よくある取り違え:分/時(60倍)・/kgの有無(体重倍)・希釈濃度・体重
桁ミスが起きやすいポイントは、だいたい次の4つに集約されます。どれも「一の位が合っていても桁が違う」タイプの誤りで、見た目では気づきにくいのが厄介です。
- 「分」と「時」の取り違え(60倍):μg/kg/minのγと、μg/kg/hrの薬(プレセデックスなど)を同じ枠で扱うと60倍ずれる
- 「/kg」の有無(体重倍):体重換算を忘れる・二重にかけると、体重の分だけ(数十倍)ずれる
- 希釈濃度の取り違え(10倍など):0.1%と0.3%、mg/mLの読み違いで整数倍〜10倍ずれる
- 体重の取り違え:実測と指示書の体重が違う、桁を打ち間違える
対策はシンプルです。
薬剤ごとに院内の標準組成を定めて組成の種類を必要以上に増やさない、申し送りでは薬剤名・組成・体重・mL/hを確認し必要に応じてγも併記する、計算ツールと手計算を突き合わせる、そしてダブルチェックする。
この4つで、桁ミスの多くは投与前に止められます。
小児・低体重では桁誤りが致命的になりやすい
体重が小さいほど、1回の投与量そのものが小さく、桁を1つ間違えたときの相対的な過量が大きくなります。実際に、医療事故の情報収集事業では、小児への10倍量の指示など、計算間違いによる過量投与が報告されています。
小児・低体重の患者さんでは、計算結果を「桁」の視点でもう一度見直す習慣が特に重要です。
計算ツール・アプリと手計算の突き合わせ、ダブルチェック
γ⇄mL/hを自動計算するWebツールやアプリはICUの現場で広く使われており、素早く確認するのに便利です。本記事末尾の計算ツールも、この「確認用」の位置づけです。
ただし、どのツールも入力(体重・濃度・単位)を間違えれば答えも間違います。本記事のツールを含め、結果を鵜呑みにせず、暗算や早見表と突き合わせて「桁が合っているか」を確かめると、入力ミスに気づけます。
特定のツールだけを絶対視せず、複数の方法で答え合わせをするのが安全です。
計算結果が普段のレンジから大きく外れるときは、投与を始める前に必ず再確認とダブルチェックを行ってください。過量が疑われる場合は、直ちに監視を強化し、投与の中止や上級医への相談、必要に応じて中毒対応の相談を検討します。
よくある質問
- ノルアドレナリン1管(1mg)は何mLですか?
-
ノルアドリナリン注1mgは、1管が1mg/1mLです。1mgを生理食塩液などで50mLにすれば0.02mg/mL、5管(5mg)を50mLにすれば0.1mg/mLになります。組成は施設で異なるため、必ず目の前の薬液の濃度を確認してください。
- ノルアドレナリンとアドレナリンは何が違いますか?
-
どちらもカテコラミンですが、作用の強さや使う場面が異なります。アドレナリンは心停止時のボーラス投与などで、ノルアドレナリンは敗血症性ショックの昇圧などで用いられます。いずれも添付文書に持続投与のγ用量の記載はなく、γは臨床慣用の目安です。
- ガンマ計算の計算機やアプリは使ってもいいですか?
-
素早い確認には便利で、現場でも広く使われています。ただし体重・濃度・単位の入力を間違えれば答えも間違います。特定のアプリだけを絶対視せず、暗算や早見表と突き合わせて桁が合っているかを確かめると、入力ミスに気づけます。
- ドパミン(イノバン)は何γくらいで使いますか?
-
添付文書では1〜5μg/kg/min(1〜5γ)で点滴静注し、病態に応じて20μg/kg/min(20γ)まで増量可とされています。あくまで目安で、実際の投与量は病態と指示医の判断によります。0.3%製剤(3mg/mL)・体重50kgなら1γが1mL/hです。
- プレセデックスもγで計算していいですか?
-
プレセデックスの単位はμg/kg/時で、γ(μg/kg/分)とは分母の時間が違います。同じ数字でも60倍ずれるため、γ薬と同じ枠で計算しないでください。維持量は添付文書で0.2〜0.7μg/kg/時とされています。
ガンマ計算と早見表の使い方まとめ
ガンマ計算は、突き詰めると「1γ=体重×0.06mg/h」と「濃度で割ってmL/hにする」の2ステップです。早見表は、その答えを素早く確認し、桁ミスを止めるための道具として使います。
- γは投与速度の単位で、1γ=1μg/kg/min(主に国内の慣用表現。国際的にはμg/kg/min)
- 1γ=体重×0.06mg/h。暗算は「体重×6して小数点を左に2つ」
- mL/h=0.06×体重×γ÷濃度。3mg/mL・50kgなら1mL/h=1γ
- ノルアド・アドレナリンは添付文書にγ記載がなく、γレンジは臨床慣用の目安
- プレセデックスはμg/kg/時。分/時(60倍)・/kgの有無(体重倍)の桁ミスに注意
いちばん覚えておきたいのは、「3mg/mL・体重50kg」を基準にすれば、ポンプのmL/hの数字がそのままγになるという感覚です。この基準を持っておくと、目の前の組成が基準からどれだけずれているかで、素早く見当がつけられます。
一方で、実際の投与量・組成・希釈は、施設のプロトコル・添付文書・指示医の指示によって変わります。早見表や暗算は確認用であって、臨床判断そのものの代わりにはなりません。小児・低体重の患者さんや、ノルアドレナリンのように低いγで細かく調節する薬では、桁の取り違えが特に大きな影響につながりかねません。
まず自施設の標準組成を確認し、mL/hとγの両方でイメージできる状態を作っておくことが、桁ミスを防ぐいちばんの近道です。計算結果が普段の感覚とずれるときは、手を止めて、手計算・早見表・ツールで答え合わせをしてから投与に移してください。
ガンマ計算ツール
製剤の規格を選び、本数・生食量・体重・γを入れると、流量(mL/h)を自動計算します。
mL/h = 0.06 × 体重 × γ ÷ 濃度
参考文献
- ノルアドリナリン注1mg 添付文書(PMDA掲載)
- 日本集中治療医学会・日本救急医学会「日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)」(2024年公開)
- 日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」
- イノバン注0.1/0.3/0.6%シリンジ 添付文書(ドパミン塩酸塩/PMDA掲載)
- ドブトレックス注射液100mg 添付文書(ドブタミン塩酸塩/PMDA掲載)
- ハンプ注射用1000 添付文書(カルペリチド/PMDA掲載)
- プレセデックス静注液 添付文書(デクスメデトミジン塩酸塩/PMDA掲載)
- ボスミン注1mg 添付文書(アドレナリン/PMDA掲載)
