高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種は、窓口で支払う金額が市区町村ごとに決められていて、全国一律ではありません。同じワクチンを1回打つだけでも、住んでいる場所によって額が変わります。さらに2026年4月1日から定期接種で使うワクチンが変わったため、「去年聞いた金額と違う」という行き違いも起きやすくなっています。
この記事では、2026年度の自己負担額の実例と1回あたりの総額の内訳、自治体で金額が違う理由、公費で打てる対象と期限、すでに接種した人の扱い、対象から外れた場合の考え方までを扱います。
厚生労働省の資料、自治体の公式ページ、学会の合同委員会の見解を出典に、どこまでが確定していて、どこからが検討段階なのかを分けて書いています。
- 2026年度の自己負担額の実例と、自分の市区町村の額を調べる手順
- 窓口で払う金額が1回あたりの総額のうちどれくらいかという内訳
- 公費で打てる対象と期限、1人1回と決まっている法令上の理由
- すでに接種した人や66歳以上の人が打つ場合の費用の考え方
2026年度、肺炎球菌ワクチンの定期接種はいくらかかるのか
2026年度(令和8年度)に定期接種の対象になる方が窓口で支払う金額は、確認できた範囲では4,000円台から5,900円ほどです。ただしこれは全国一律の金額ではありません。
高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種は、実施主体が市区町村で、費用も市区町村が負担しています。自己負担額をいくらにするかも市区町村が決めるため、住んでいる場所で額が変わります。
そして金額そのものより先に効いてくるのが、対象に当たるかどうかです。対象なら数千円で済み、外れると1万円前後を全額自分で払うことになります。
実際の自己負担額の例(横浜市5,000円・福岡市5,900円)
公式ページで令和8年度の金額を確認できた自治体を並べます。年度と更新日をあわせて見てください。
| 自治体 | 令和8年度の自己負担額 | 公式ページの更新日 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 5,000円 | 2026年8月1日 |
| 福岡市 | 5,900円 | 2026年4月1日 |
| 江東区 | 5,500円 ※生年月日により4,000円の区分あり | 2026年8月5日 |
3つとも使うワクチンは同じ沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20、プレベナー20)です。同じワクチンを1回打つだけで、住む場所によって1,000円以上の開きが出ています。この差がどこから生まれるのかは、次の章で制度の側から説明します。
自分が住む市区町村の金額を調べる3つの手順
他人の自治体の額を知っても支払額は決まりません。次の手順で、その人の市区町村の額を直接確かめてください。
- 「(市区町村名) 高齢者 肺炎球菌 定期接種」で検索し、自治体の公式ページを開く
- 「対象者」「接種期間」「自己負担額(自治体により一部負担金・個人負担金と表記)」の3か所を読む
- 「費用の免除」「自己負担額の免除」の項目があるかを見て、あれば対象と必要書類まで確認する
金額を扱う一般向けのページは、年度が替わっても更新が追いついていないことがあります。2026年度は額が動いた年なので、必ず年度の表記まで確かめてください。
患者さんへの説明でも、金額を口頭で伝えるより、この3か所を本人に見てもらう形にしたほうが行き違いが起きません。
その金額は1回あたりの総額のうち、どれくらいなのか
窓口で払う5,000円や5,900円は、接種1回にかかる費用の全部ではありません。残りは市区町村が公費で負担しています。その内訳は、自治体が公表している委託単価を見ると分かります。
委託単価から見える、1回あたりの総額(福岡市の例で11,881円)
福岡市が公表している令和8年度の業務委託料(単価契約分・税込)は次のとおりです。
| 業務の区分 | 契約単価(税込) |
|---|---|
| 個人負担金5,900円を受領し実施した場合 | 5,981.00円 |
| 個人負担金免除対象者で、免除して実施した場合 | 11,881.00円 |
| 診察したが接種しなかった場合(不可問診) | 3,521.00円 |
個人負担金5,900円と、市から医療機関に支払われる5,981円を足すと11,881円になります。免除対象者の場合の単価11,881円と一致します。つまり1回あたりの総額は11,881円で、そのうち約半分を市が負担している計算です。
国が定期接種化を検討した際の費用対効果分析でも、ワクチン価格を、15価と20価の結合型ワクチン(PCV15とPCV20)について7,200円、接種費用(手技等)を3,200円と設定していました。合計10,400円で、福岡市の実額と近いオーダーです。
つまり、肺炎球菌ワクチンを1回打つのにかかる費用はおおよそ1万円台前半で、定期接種はその半分ほどを公費が肩代わりしている仕組みだ、ということです。ただし11,881円は福岡市の契約額であり、全国の代表値ではありません。
なぜ自治体によって自己負担額が違うのか
ワクチンの価格は、薬価のような公定価格ではありません。厚生労働省の部会資料には、定期接種の実施は市区町村と郡市医師会が委託・受託の関係にあり、委託費用は両者で交渉して決まると明記されています。
契約の型も一つではありません。市区町村がワクチンを購入して医療機関に提供する型と、医療機関が卸売販売業者から購入する型があります。前者では委託費用は接種費用のみ、後者ではワクチン代を含めた額になります。
定期接種にかかる費用は、(ワクチン費用+接種費用)×接種回数という形で積み上がります。同じプレベナー20を打っても、誰がいくらで買い、どう契約しているかが自治体ごとに違うため、自己負担額もそろわない、ということです。
国も、予防接種基本計画の中でワクチンの価格調査や公平で透明性の高い価格決定プロセスの検討が必要だとしています。裏を返せば、現在は市区町村ごとの交渉に委ねられている部分が残っているということになります。
なぜ2026年度から自己負担が上がったのか
「去年、知り合いは4,000円台だったのに自分は5,900円だった」という違和感には、はっきりした理由があります。2026年4月1日に、定期接種で使うワクチンそのものが変わりました。
定期接種のワクチンがニューモバックスNPからプレベナー20に変わった
2026年3月31日までは、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、ニューモバックスNP)が使われていました。2026年4月1日からは、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20、プレベナー20)を用いて、0.5mLを1回、筋肉内に接種します。
莢膜ポリサッカライドワクチンとは、肺炎球菌の表面を覆う糖の膜(莢膜)の成分だけを取り出したワクチンです。結合型ワクチンは、その糖にタンパク質をつないで、免疫が反応しやすいように作り変えたものを指します。
福岡市では、この切り替えに合わせて個人負担金が4,200円から5,900円になりました。切り替えの前後で、同じ市の同じ制度の金額が1,700円上がったことになります。
日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の合同委員会も、第8版(2026年4月1日)で「高齢者の定期接種ワクチンが結合型ワクチンに切り替わることで、個人による定期接種の費用負担が増加すると考えられる」と記しています。つまり値上がりは自治体独自の判断ではなく、使うワクチンが変わったことによる全国的な動きです。
なぜ莢膜ポリサッカライドワクチンから結合型ワクチンに切り替わったのか
厚生労働省は、ワクチン接種後の免疫を得る機序が異なっているため、PCVの方がPPSVよりも高い有効性が期待できると説明しています(高齢者の肺炎球菌ワクチンQ&A、2026年2月20日版)。
もう少し踏み込むと、国のワクチン評価に関する小委員会の評価はこうです。「PCV15及びPCV20について、現時点では臨床的な有効性を評価した知見はないものの、PCV13と比較して非劣性もしくは十分な免疫応答が確認されていることから、カバーする血清型のIPD及び肺炎球菌感染症に対する臨床的な有効性について、PCV13の知見を準用することは妥当である」。
IPDは侵襲性肺炎球菌感染症のことで、髄膜炎や菌血症のように、本来は菌がいない場所から肺炎球菌が検出される重い病態を指します。PCV13は13価の結合型ワクチンです。
ここは読み間違えやすい部分です。PCV20とPPSV23を直接比べて肺炎がどれだけ減ったかを見た試験があるわけではありません。カバーする血清型に対して高い有効性が期待できる、という評価であり、公的資料が言っているのはそこまでです。
つまり「新しいほうがよく効く」と言い切れる段階ではなく、既存のワクチンの知見を準用した評価にもとづく制度変更だ、と理解しておくのが正確です。患者さんに聞かれたときも、「効果が保証されたから値上がりした」という説明にはしないほうがよいでしょう。
公費で打てるのは誰か。いつからいつまでか
費用が数千円で済むか、1万円前後の全額自己負担になるかは、対象に当たるかどうかで決まります。記事全体で最も金額に効くのがここです。
「65歳の1年間」という区切り
予防接種法施行令が定める対象は2つです。1つは65歳の者。もう1つは60歳以上65歳未満で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能の障害、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能の障害を有する者として厚生労働省令で定めるものです。
注意したいのは、65歳「以上」ではなく65歳「の者」だという点です。横浜市は接種期間を、65歳の誕生日から66歳の誕生日の前日までと案内しています。
起算日の書き方は自治体で少し違います。福岡市は65歳の誕生日の前日から、江東区は65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前々日までとしています。年齢に達する日を誕生日の前日とする数え方があるためです。おおむね65歳の1年間と押さえたうえで、日付は自治体で確認してください。
この1年を過ぎると公費の枠は使えません。接種そのものは可能ですが全額自己負担になります。66歳の誕生日が近い方には、期限を具体的な日付で伝えてください。
60歳から64歳で対象になる人と、必要な書類
特例の対象になるのは、心臓・腎臓・呼吸器の機能に、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある人と、HIVにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある人です。実務上は身体障害者手帳1級相当が目安になります。
この区分の人には、予診票が自動では届きません。横浜市も福岡市も、手帳の写しや診断書を持参して自分で申請する運用です。該当しそうな患者さんには、こちらから制度の存在を伝えないと機会がそのまま流れます。
つまり、60歳から64歳のハイリスク者は、知らないままだと使えたはずの公費の枠を使わずに65歳を迎えてしまう、ということです。呼吸器疾患や透析の患者さんを診ている場面では、確認しておく価値があります。
1人1回と決まっている法令上の理由
「なぜ生涯1回なのか」には、はっきりした根拠があります。予防接種法施行規則は、定期接種対象者から除かれる者として「肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)に係る予防接種の対象者にあっては、当該疾病に係る定期の予防接種を受けたことのある者」を挙げています。
一度定期接種を受けた人は、法令上そもそも対象者から外れます。だから2回目は公費の対象にならず、全額自己負担の任意接種という扱いになります。
横浜市は、テレビCMなどの影響で、すでに接種した人が再び受けようとする事例が起きているとして、1人1回限りである旨をページ上で注意喚起しています。窓口でも起こりやすい取り違えです。
つまり「生涯1回」は、医学的にそれ以上打てないという意味ではありません。公費で打てるのが1回、という制度上の線引きです。
自己負担が免除になる人と、接種当日に必要な書類
自己負担額が0円になる人がいます。根拠は予防接種法第52条(実費の徴収)です。定期の予防接種を行った者は実費を徴収することができるとしたうえで、「これらの者が、経済的理由により、その費用を負担することができないと認めるときはこの限りでない」と定めています。
誰を免除するか、何を証明書類として受け付けるかは市区町村が決めます。そのため範囲は自治体ごとに違います。
| 自治体 | 免除の対象 | 必要書類の例 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 市民税非課税世帯/生活保護受給者/中国残留邦人等支援給付の受給者 | 介護保険料額決定通知書のコピー、生活保護費支給証、生活保護受給証明書 など |
| 福岡市 | 市県民税非課税世帯/生活保護法適用者/中国残留邦人等支援法の対象者 | 介護保険料特別徴収通知書の写し、保護受給証明書、支援給付のための本人確認証の写し など |
非課税証明書だけでは免除されない自治体がある
見落としやすいのが、非課税であることを何で証明させるかまで決められている点です。横浜市は介護保険料額決定通知書のコピーなど、具体的な書類を指定しています。非課税証明書を持って行けば通る、とは限りません。
そもそも非課税世帯を免除対象にしていない自治体もあります。免除は必ずあるものではなく、市区町村の定め次第です。「非課税だから無料のはず」という前提で来られた方には、まず自治体の免除の項目を一緒に確認してください。
書類は接種当日に提出が必要という運用が一般的です。つまり、あとから証明書を出しても遡って免除されるとは限りません。該当しそうな方には、当日に持参するところまで具体的に伝えるのが確実です。
過去に肺炎球菌ワクチンを打った人の費用はどうなるか
「5年経ったから、もう1回打つんですよね」という問いは、そのまま費用の問題になります。しかもここは、2026年4月に考え方が変わった部分です。
「5年ごとに再接種」は、現在の考え方ではない
合同委員会の「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」第8版(2026年4月1日)は、次のように記しています。「第7版以降、高齢者におけるPCVの利用が拡充されたことから、PPSV23接種後の同ワクチンの再接種を原則として選択肢としない」。
あわせて掲載されている図の注意書きにも、「PPSV23の再接種は選択肢としない」と明記されています。PPSV23はニューモバックスNPのことです。
つまり、ニューモバックスを打った人がもう一度ニューモバックスを打つ、という選択肢は原則として置かれなくなりました。「5年ごとに打ち直す」という説明は、結合型ワクチンが高齢者に使えるようになる前の状況を前提にしたものです。
代わりに示されているのは、PPSV23あるいはPCV13・PCV15・PCV20を接種した後、1年以上の間隔を置いてPCV20または21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21、キャップバックス)を接種することができる、という整理です。ただしこの1年という間隔は、安全性の観点から示されたものだと図の注意書きに書かれています。
添付文書の「5年」が本当に言っていること
では「5年」という数字はどこから来たのでしょうか。ニューモバックスNPシリンジについて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している接種を受ける人向けのガイドには、次のように書かれています。
「過去5年以内にこのワクチンの接種を受けたことのある人が、再接種を受けると、以前の接種時より注射部位に痛み、赤い発疹、しこり等の副反応が高い頻度や強い程度であらわれると報告されています。再接種を行う場合は、その必要性を医師と相談のうえ、十分な間隔をあけて受けてください」。
読み直すと分かるとおり、これは「5年以上あけて再接種しなさい」という指示ではありません。「5年以内の再接種は副反応が強く出やすいので慎重に」という注意です。
つまり、5年経ったら打つべきだという意味は元から含まれていません。副反応についての注意が、いつのまにか接種間隔の推奨として広まった、という経緯があります。
既に接種した人が打つ場合は全額自己負担になる
費用の話に戻します。第8版は「PPSV23もしくはPCV既接種者は定期接種の対象外となる」と明記しています。過去に1回打っていれば、次に打つときは任意接種で、全額自己負担です。
PCV20やPCV21を接種した後の効果の持続については、第8版はこう書いています。「PCV20およびPCV21接種後のワクチン効果の持続は5年程度と考えられるため、免疫原性の観点からはPCV20あるいはPCV21接種後5年以降の再接種が必要と考えられる。しかしながら、現時点でPCV20およびPCV21接種後の再接種の免疫原性、安全性のデータはない」。
免疫原性とは、ワクチンによってどれくらい抗体ができるかという指標です。臨床的な効果そのものとは別の物差しだと考えてください。
つまり、5年後にまた打つ必要があるとは言い切れない状態です。「5年ごとに1万円台の出費が続く」という前提で費用の見通しを立てる根拠は、現時点の公的資料にはありません。打つかどうかは、接種歴と基礎疾患を踏まえて主治医が判断する事項です。
対象から外れた人が自費で打つといくらか
2番目に多い疑問が、対象から外れている場合の自費の金額です。先に結論を書くと、一律の答えは存在しません。理由まで含めて説明します。
66歳以上に公費の枠は残っていない(経過措置は令和5年度で終了)
65歳を超える人には、平成26年度から令和5年度までの約10年間、5歳刻みの年齢を対象とする経過措置がありました。65歳、70歳、75歳と、5年ごとに接種機会を提供する仕組みです。これは令和5年度で終了しました。
令和6年4月1日以降、66歳以上の人は定期接種の対象になりません。「そのうち順番が来る」と思って待っている方がいますが、待っていても来ないというのが現状です。
例外は長期療養特例です。対象年齢の間に、長期にわたり療養を必要とする疾病等のため定期接種を受けられなかったと認められる場合、その事情がなくなった日から起算して1年を経過する日までは、定期接種として接種できます。
多くの疾病では2年ですが、高齢者の肺炎球菌感染症は1年です。免疫抑制療法や臓器移植後などで接種を見送っていた患者さんには、この1年という期限をあわせて伝えてください。
自費に一律の金額が存在しない理由と、目安の考え方
予防接種は原則として医療保険の給付対象ではありません。任意接種は自由診療にあたり、価格は各医療機関が設定します。公的に決まった金額が存在しないので、「自費は何円です」と一律には答えられません。
目安を立てるなら、定期接種の総額から逆算する方法があります。福岡市の委託単価から見た総額は11,881円、国の分析上の設定値はワクチン7,200円と接種費用3,200円で10,400円でした。1回あたり1万円台前半というのが一つのオーダー感になります。
ただしこれは公費で実施する場合の契約額と、分析上の設定値です。自費診療の価格そのものではありません。実際の金額は医療機関ごとに違うので、受ける前に電話で確認してもらうのが確実です。
なお、PCV21(キャップバックス)については、2026年4月以降の定期接種に用いるワクチンはPCV20のみであり、その他のワクチンは定期接種として使用できないと厚生労働省が明記しています。PCV21を選ぶ場合は全額自己負担になります。2つのワクチンの中身の違いは、プレベナー20とキャップバックスの違いと選び方で詳しく整理しています。
70歳での接種機会は「検討されている段階」
66歳以上への機会提供については、検討が進んでいます。2025年10月23日の第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会では、事務局案として「70歳でPCV20の接種機会を設けることを軸に検討することとしてはどうか」と示されました。
背景には費用対効果の分析があります。接種しない場合と比べた増分費用効果比(ICER。健康な状態で1年生きる分を追加で得るのに、いくら余分にかかるかを示す指標)は、PCV20を65歳で接種した場合に116.0万円、70歳で191.2万円でした。
一方、75歳では931.0万円、80歳では1,189.6万円と悪化します。つまり、年齢が上がるほど同じ費用に見合う効果が得られにくくなる、という分析結果です。70歳という案は、この線引きから出ています。
ただし、具体的な年齢は他のワクチンを含めた予防接種施策全体の中であらためて議論するとされており、決まったわけではありません。令和8年度時点で70歳の定期接種は実施されていないため、「70歳まで待てば公費で打てる」という案内はできません。
よくある質問
- プレベナー20を打ったあと、どんな副反応がどのくらい出ますか。
-
注射部位の疼痛・圧痛が59.6%、筋肉痛38.2%、疲労30.3%、頭痛21.7%と報告されています。頻度は不明ですがショック・アナフィラキシーの記載もあります。接種後に息苦しさやじんま疹が出た場合は、直ちに医療機関を受診してください。
- 里帰り中や施設入所中など、住んでいる市区町村以外で打つことはできますか。
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事前に市区町村へ申請して予防接種実施依頼書の発行を受けておけば、定期接種として受けられる場合があります。依頼書がないまま接種すると全額自己負担になることがあります。手続きに日数がかかるため、早めに窓口へ確認してください。
- インフルエンザワクチンと同じ日に打てますか。費用は安くなりますか。
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医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。プレベナー20には他のワクチンとの接種間隔の規定もありません。ただし費用はワクチンごとに発生するため、同じ日に受けても合計額は変わりません。
- 接種にかかった費用は医療費控除の対象になりますか。
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国税庁は、病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費にならないとしています。一方でセルフメディケーション税制では、定期予防接種が特例を使うための「一定の取組」に挙げられています。判断に迷う場合は所轄の税務署にご確認ください。
- 健康被害が起きたとき、定期接種と自費の任意接種で違いはありますか。
-
定期接種で厚生労働大臣の認定を受けた場合は、予防接種法に基づく救済の対象になります。任意接種では医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用被害救済制度が窓口となり、根拠となる法律も請求先も変わります。違いは金額だけではありません。
まとめ:肺炎球菌ワクチンの定期接種の費用で、結局おさえるべきこと
- 自己負担額は市区町村ごとに違い、確認できた範囲では4,000円台から5,900円
- 窓口負担は総額の一部で、1回あたりの総費用はおおよそ1万円台前半
- 2026年4月1日にPPSV23からPCV20へ変わり、費用負担は増える方向にある
- 公費で打てるのは65歳の1年間と60歳から64歳の特例のみ。1人1回で、2回目は全額自費
- ニューモバックスの再接種は、第8版で原則として選択肢としない扱いになった
結論を一つに絞るなら、金額を調べる前に「その人が65歳の1年間の中にいるか」を確かめることです。ここが公費と全額自費の分かれ目で、差は数百円ではなく1万円弱になります。
窓口で費用を聞かれたときは、生年月日と接種歴の2つから整理してください。65歳なら自治体の定めた額、すでに1回受けていれば任意接種、66歳以上なら長期療養特例に当たらない限り任意接種、という順で判断できます。
持病のある方では、60歳から64歳の特例に当たらないかを見てください。心臓・腎臓・呼吸器の機能の障害やHIVによる免疫の機能の障害があり、身体障害者手帳1級相当であれば、本人が申請することで対象になります。ここは待っていても案内が届きません。
免疫抑制療法中や脾臓摘出後など、接種の可否や時期に配慮が必要な方については、主治医と相談したうえで時期を決める形になります。対象年齢の間にその事情で接種できなかった場合は、長期療養特例の1年という期限もあわせて確認してください。
まず確認することは1つです。市区町村の公式ページで、今年度の対象者・自己負担額・免除の3か所を見る。金額は年度で変わり、2026年度はまさに変わった年でした。去年の情報のまま案内しないよう気をつけてください。
参考文献
- 日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会 合同委員会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」(第8版、2026年4月1日)
- 厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」(Q&Aは2026年2月20日版)
- 厚生労働省「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料1(2025年10月23日)
- 厚生労働省「予防接種に要する費用について」第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料1(2024年9月9日)
- 厚生労働省「予防接種健康被害救済制度について」
- 医薬品医療機器総合機構「ワクチン接種を受ける人へのガイド ニューモバックスNPシリンジ」(2026年5月更新)
- プレベナー20水性懸濁注 添付文書(2024年8月改訂 第2版、ファイザー株式会社)
- 予防接種法(昭和23年法律第68号)第52条 実費の徴収(e-Gov法令検索)
- 予防接種法施行令(昭和23年政令第197号)第3条 定期接種の対象者および長期療養特例(e-Gov法令検索)
- 予防接種法施行規則(昭和23年厚生省令第36号)第2条第1項第9号・第2条の5 対象者から除かれる者および60歳以上65歳未満の対象者(e-Gov法令検索)
- 横浜市「成人用肺炎球菌ワクチン(定期接種)」(2026年8月1日更新)
- 福岡市「令和8年度高齢者の肺炎球菌定期予防接種について」(2026年4月1日更新)
- 福岡市「令和8年度高齢者用肺炎球菌接種委託単価」
- 江東区「高齢者用肺炎球菌予防接種費用の一部助成」(2026年8月5日更新)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1122「医療費控除の対象となる医療費」(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1129「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」(令和7年4月1日現在法令等)
